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(写真はすべてイメージです)

「必ず誰かが助けてくれる」
ひとり親の「先輩」が伝えたいこと

ひとり親として新しい生活に踏み出したいと思っても、「怖い」と感じる方も多いのではないでしょうか。生活できるのか、子育ては大丈夫か…。不安でいっぱいになり、前に進めなくなるケースも見受けられます。でもひとり親の“先輩”は言います。「必ず誰かが助けてくれます。あなたは一人じゃない」。そんな先輩の一人に、「助け」について聞いてみました。

――あなたがひとり親になった経緯を教えてください。

元夫からDVを受けていました。追い詰められて自殺未遂をしてしまい、入院しました。退院後つないでもらったシェルターへの入所をサポートしてくれる女性相談支援員の方から「自分の人生を生きるんだよ」と言われ、目が覚めたのです。

離婚を決意し、役所や警察に相談のうえ、シェルターに駆け込みました。お金をはじめ生活のすべてを元夫が管理していたので、着の身着のまま、逃げるように家を出ました。

――いまはどんな暮らしぶりですか?

15歳の息子、8歳の娘と3人でアパート暮らしをしています。

部屋を探すのは大変でした。保証人などの条件がなかなかそろわず難航しました。8カ所目でようやく契約できたときは、探し始めてから2カ月がたっていました。

入居した当初からそろっていたのは、冷蔵庫とガスコンロだけ。所持金7,000円で、他は何もない状態からのスタートでした。段ボールをテーブル代わりにしてしのいだほどです。生活用品は買ったりシェアしてもらったりして、少しずつそろえていきました。いまも不自由はありますが、最低限の暮らしはできています。

入居できたときはすごくうれしかった。これで元夫の支配から逃れ、自由な暮らしができるんだと晴れやかな気持ちになりました。保証人問題も含めて、シェルターのスタッフや居住支援法人(※)をはじめ、さまざまな方々が親身になって助けてくれたおかげです。特に、保証人を引き受けてくれた法人の方は、困ったことはないか今も訪ねてきてくれます。支えてくれる人達がいて、本当に心強いです。

※ 国の住宅セーフティネット制度に基づき都道府県が指定する法人組織。物件探しのサポートや生活相談などを行っている。一部では連帯保証人の引き受けも行っている。

――最初に頼ったシェルターは、どんなところでしたか?

近くに頼れる身内もいませんでしたので、家を出たとき、すごく孤独でした。こども2人を連れて、「私たち、どうなってしまうんだろう」と不安だった。だから、DVから逃れるために利用したシェルターには救われました。

初めてシェルターを訪れた際、スタッフの方がハグしてくれたんです。そのとき「ああ私、愛されてる」と思いました。ぬくもりを感じたのを覚えています。

シェルターのスタッフの方々はみな、家族のように私に寄り添って接してくれました。「今までよく頑張ってきたね」って言ってくれて。そんなことを言われたのは初めてだったので、うれしかったですね。

体調面のサポートをしてくれたり、こどもの勉強を見てくれたりして、「親戚のおばちゃん」のように親身になって接してくれました。

初めて自分を好きになることができた

「シェルターは、病院で言えばICU(集中治療室)のようなものだ」と例えてくれた人がいました。傷ついたひとり親たちを温かく治療してくれて、一般病棟に移るまでサポートしてくれる。本当にその通りだと思います。

だから私にとっては、大きな愛のある場所なんです。シェルターのみなさんに愛されることで、初めて自分を好きになることができました。不安がどんどん小さくなって、理不尽と闘う意欲が湧いてきたんです。

――ひとり親生活は、こどもたちにとってはどうだったのでしょう?

新生活が始まったころ、特に息子は不平不満を口にしていました。「うちは貧乏」「車がないから行きたいところに行けない」「学校が変わって友達と離ればなれになるのがつらい」……。

そんな息子がある日、「ママごめんね、いろいろ文句を言って。今の生活、好きだよ」と言ってくれたんです。息子の成長を感じて、いままでの苦労が報われた気持ちになりました。

――今後の生活で考えていることはありますか?

今は食育の勉強をしています。体の調子が不安定になりがちで、一度、体調を崩すと大変なんです。こどもの世話すら満足にできません。きちんとした食事を心がけて元気な体にしたいと考えています。こどもの健康も考えて、必要な知識を得たいですね。

また、臨床心理士やカウンセラーのスキルも学びたいと考えています。周囲には私と同じように困っている人がたくさんいます。そんな人たちの役に立つ仕事がしたいのです。

――ひとり親の方や、これからひとり親になる方への、メッセージやアドバイスをお願いします。

新しいひとり親生活に踏み出すときって、怖いと思います。私も怖かった。先が見通せないから不安に押しつぶされそうになるんです。

でもこれだけは知っておいてほしい。助けてくれる人が必ず現れます。寄り添ってくれる人がいます。安心できる場所が必ず見つかります。私もそんな人たちと知り合って、安心できる場所をたくさん持つことができました。

日々の生活が自信につながる

私のようにDVが絡んでくると、問題は複雑です。配偶者への依存心などが邪魔をする場合がありますから。私の場合は恐怖心から生きる気力を失い、思考も停止していました。でも、ひとり親生活を続けることによって、元夫の呪縛を断ち切ることができました。

ひとり親生活を続けているうちに、「自分の力で生きることができるんだ」と自信がつきます。自信がつくと自分を好きになれる。こどもにも愛されていると強く感じることもできるようになります。決断して良かったと思える日が必ず来ます。

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